定年を迎えても転職が当たり前になる時代

経済成長対策を政策の最重要課題に掲げている現政権になって約6年です。この間、政府の発表では低成長率ながら長期間に渡って好景気が続いていることになっています。それを物語るように、国民には景気回復感が余り感じられないのに昨今の雇用市場では多くの企業で人手不足状態が続いていて、業種によっては定年を迎える人にそのまま退職されると人手不足が一層、深刻になる職場が結構多いようです。このため、制度としての定年に60歳を採用している職場が多くても、その後の5年間程度は本人が健康体で、働く意欲を持っていれば職場と本人が話し合って雇用延長するか、決めています。従って、多くの定年間近なサラリーマンは65歳前後まで働くことに生活の照準を合わせつつあります。現役引退後に公的年金の支給を受けて退職金と併せて老後の生活バランスを取ろうと考えています。しかしながら、退職金支給制度があっても余り恵まれていなかったり、数十年かけて返済する住宅ローンの返済見込みが狂って退職金を充てて完済するサラリーマンも少なくないようです。従って、職場が雇用延長期間を更に延ばしてくれれば喜んで、ダメであれば転職して働き続ける人が増えてきました。転職が難しければ住まいの近くでアルバイトやパート勤務を考えてでも収入を得る必要性のある高齢者が増えているということです。日本人の平均寿命が男女ともに80歳を超えているものの、健康寿命はそれより10年程度短いようですから、男性であれば70歳、女性であれば75歳程度まで働き続けられそうです。従って、公的年金に預貯金や退職金を上乗せしても老後の生活費のバランスが取れない現役引退組は健康寿命の続く限り働き続ける必要があるようです。この他にも、少子高齢化のあおりを受けて悪化した年金財政を改善するために現在の公的年金の支給レベルを今後とも、徐々に引き下げる見通しが発表されています。このため、公的年金だけに依存する高齢者の生活維持は徐々に厳しさを増すことになりそうです。従って、定年の延長見直しが本格化する他に、次第に定年時点で再雇用、あるいは、新しい職場を見つけることが当たり前になる時代が訪れるはずです。その結果、健康である限り働けるだけ働かなければならない時代が徐々に近づいてくるはずです。心身ともに健康を維持して働き続けられる体力、気力を若い内から養っていくことが求められます。